気になる、だから・・・(2)
この前の続き
ランジエに何も聞けないまま数日経ってしまった。
ふと渡り廊下を見ると、先日ランジエに手紙を差し出した女子が、また手紙を持って歩いていた。
中庭に居るランジエはまだ気づいてないみたいだ。
(またランジエに渡すのかな・・・)
(また渡すってことは、前の手紙は受け取らなかったのかな?)
(ランジエは迷惑してるのかな・・・・)
どんどん、自分の都合のいいように考えていっていることにも気がつかない。
(・・・だったら、手紙を渡す前に諦めさせたらいいんだよねっ)
自分でもいいことを思いついたって考えながら、僕は旧友の元へ走り出した。
「ねぇ、イスピン 制服貸して欲しいんだ すぐ洗って返すからさ」
「・・・・・・・・は?」
イスピンはポカンとした表情をしている。
「すぐに着替えて行かなきゃダメなんだよ ね、お願い」
「え?えっと、何?変な課題でも出されたの?」
イスピンもエミール教授の奇妙な課題に悩まされている仲間だ。
「いいよ、助けてあげるよ。 貸したげるから待ってて」
良かった、持つべきものは仲間だな。小声で(女装見てみたいし)って言ってた気もするけど、きっと気のせいだよね。
イスピンに借りた制服をさっそく着てみた。
「僕の制服じゃ少しサイズがキツイかもしれ・・・」
「あ、ぴったりだ ありがとうイスピン」にっこり
「・・・・・・・・・・・・・チッ」
あれ?一瞬すごい顔で凄まれた気もするけど、気のせいだよね。イスピンは本当にイイヤツだな。
「制服ありがとー すぐ返すからねー」
そう言いながら、僕はランジエも元に走り出した。
ランジエは・・・あ、いた。中庭の木に寄りかかって本を読んでいる。あの女子も近づいて来てる。
(まだ手紙は受け取ってないんだ 良かった)
僕もそっとランジエの隣に座って、無防備な右腕にしがみついた。
細いのにちゃんと鍛えていて引き締まった腕だな、って思いながら。
「えっ」
驚いてこちらを振り向く。驚いた表情がすぐに困惑した表情に変わった。
「あの、ルシアン?何をして・・」
「ランジエ、手紙渡されて困ってるんでしょ?僕が助けてあげるからねっ」
説明してる時間はない。だってもうすぐ来ちゃうんだもん。
「はぁ・・・」
そう、手紙を持った女子はランジエが他の女子(に見えるだろう僕)と一緒に居るのに諦めずにランジエに近づいてきた。
僕たちの目の前まで近づいてランジエに声をかけた
「はい、ランジエさん どうぞ」手紙を差し出す女子
「いつもありがとうございます」受け取ろうとするランジエ
そんな二人に、つい僕は叫んでしまった
「ダ、ダメだったら。僕だって、ランジエの事がっ」
そこまで言って、二人の視線に気がついた。そして、二人のセリフの違和感にも。
(ランジエ、今、いつもありがとうって言ってた・・・)
僕はランジエが持ってる手紙の送り主の名前を確信した。そう、それは・・・
「この手紙は妹のランズミからですよ」
手紙はランジエの妹からで、彼を安心させるために近況報告としてよく出しているらしい。そして、手紙を持っていた女子は学園宛に届いた手紙や小包を学生に配達する係らしい。
「何だ、ラブレターじゃなかったんだ・・・」
僕は気が抜けてしまった。多分、安心したんだと思う。
「ふふっ、二人とも仲がいいのね じゃ、私行くね」
そう言って、彼女は次の配達先の学生を探しに行ってしまった。
後はオチだけ・・・なのに長くなりそうなんで 続きますノシ