オカリナ日和っ

ネクソンのオンラインゲーム TWのルシアンへの愛と妄想を語るブログです

月の雫、君の瞳から・・・(1)

※ランジエが若干(?)病んでます ボリ好きさんも閲覧注意 

 

今夜は月が大きく見えるな。
(月明かりだけで、君の表情が読み取れてしまうほどに)


 ボリス・ティチエル・アナイスが月の島を救う為に、イソレットと共に学園から発って数日が経つ。
そのためだろう、それまでボリスと一緒にいたルシアンの元気がなくなっている。
ルシアンは時間が出来るとカンタパレスの港に寄っているようだ。
始めは昼間のみ行ってた様だが、今は月の明るい日であれば、夜も抜け出して港に行っているようだ。
月夜だけ、だということが意外と怖がりな彼らしい。
彼らの、いや、ボリスの帰りを健気に待っているのだろう。

(気に入らない・・・今あなたの側にいるのは私なのに・・・)
ルシアン、君も分かっているはずだ。
ボリスの瞳に映っているのはイソレットだけ。友人も仲間も、彼の世界から消し飛んでいる。
ボリスはイソレットのために生きているのだから。
傷に気づかないフリを続けていては、その傷は治りませんよ。

 今夜は雲もなく、明るく美しい蒼い月が出ている。
私はコートを着込み、ルシアンが抜け出すのを確認して外に出た。
目的地は、もちろんカンタパレスの港。時間は0時を過ぎた頃で人気はない。
ルシアンは船着場に座り込み遠くを眺めている。船の明かりでも探しているのだろうか。
私は彼に気づかれないように近づいて声をかけた。
「こんばんは、ルシアン」
「うわっ えっ ランジエ? ビックリしたー」
ルシアンはやはり私に気付いていなかったらしい。
「えへへ、眠れなくてね 海風に当たりに来ちゃったんだ」
ルシアンは意外と演技が上手いらしく笑顔と柔らかい声を返してくれた。
しかし、その月のように蒼く綺麗な瞳は潤んだままで、目元は腫れていた。
「泣いていたのですか?」
私は強がるルシアンの隣に座った。
「ふえっ・・泣いてないよ 僕は男だし、騎士見習いだったんだよっ」
ルシアンは人前で泣くことはない。
泣きたいほど辛い時は一人でそっと抜け出していた・・・
(あぁ、港に行くことが増えたのは、このことも関係していたのか)
ルシアン、傷を直すには、痛いでしょうが傷を切り開いて膿を出してしまうのが一番なんですよ。
「ルシアン、ボリスは今幸せなのでしょうね イソレットと共に過ごすことができて」
「そうだね・・・」
それだけ言ってルシアンは黙ったので、私は続けた。
「そのまま島に残って幸せに暮らせるといいですね」
「何を言ってるの?ボリスは帰ってくるよ 僕とボリスは友達なんだよ 友達は一緒にいるものだろ?」
「友達・・・なのですか?ボリスもそのように思っているのですか?」
ルシアンは瞳を見開いて黙ってしまった。

 学園に来て最初の自己紹介の時に『友達だ』と云うルシアンに対してボリスは『自分は護衛だ』と訂正していた。
しかし、護衛と云うにはボリスは自分の都合を優先させている。
クロエの護衛であるセティリアの行動と比べれば一目瞭然だ。
ボリスは自分の都合に合わせて『友人』と『護衛』を使い分けているのだろう。
今の私には、このように思えてならない。
(私は、私のルシアンの傷を早く治療しなければならない・・・)